なぜ、ぼくは「ゆら」なのか?

ぼくは、「貝塚」ってところに妹といたんだ。生きるのに必死だった。
いつから貝塚にいたかって?…もう覚えてない。
貝塚には「お店」があって、ぼくらは夜にそこへ行った。
妹は、人間が怖くなくていつも「ご飯ちょうだい」と近づいていった。
そんな妹を、ぼくはヒヤヒヤしながら追いかけたし、ご飯がもらえると警戒しながら急いで食べたんだ。

だけど、僕らを心配した人たちがいて、そのうちの誰かがぼくらを「家」に連れて行った。
まず妹が人間と車に乗って行ってしまったんだ。
…それからずっと一人ぼっちだった。でも、とうとう僕も「捕まった」んだ。
「家」に行ったら、妹がけろっとした顔でくつろいでいた。

ぼくはなにがなんだかわからなくて、鳴いてばかりいた。
ご飯の味もわからなくって、だけどただご飯がほしかった。

人間が、ぼくらの呼び方について考えていた。
漫才師の2人組の名前とか、仮の名前だから簡単なものだとか、勝手に言っていた。
ちょっと前にNHKでやっていたドラマに「由良(ゆら)」さんと「こい」さんが出ていて、人間はそれが気に入っていたから、僕には「ゆら」、妹には「おこいちゃん」ってつけて呼んでいた。


その後、、ぼくらは「迷子」だから、それなりの手続きをしなくてはいけないと、誰かからアドバイスをもらって、ぼくらは「保健所」に行ったんだ。
保健所ってところは犬がいっぱいいて、ぼくらと同じように不安で空腹だった。時が過ぎて、妹は誰かのところに行ってしまった。ひとりぼっちになった。
それから時が過ぎて、また、「家」にやって来た。
肉球がなんだかヤワになってきた。ウンチは毎日2回出る。人間はすごい代謝だと大騒ぎしてる。ぼくは砂かけが上手いんだ。


でも、やっぱり相変わらず寂しい、空腹な毎日なんだ。